アントニオ猪木さんが闘っていた病

2022-11-18

アントニオ猪木さんが闘っていた病10月に79歳で亡くなったプロレスラーのアントニオ猪木さんが病床で闘っていたのは、「全身性アミロイドーシス」という疾患です。
異常を起こした体内のたんぱく質が臓器などの機能を奪う病気で、国の難病に指定されていて、高齢化の進展とともに増えつつあると2022年11月16日の毎日新聞が伝えています。

アミロイドーシスとは、アミロイドと呼ぱれる線維状のたんぱく質が、全身のさまざまな臓器に沈着し、体の異常を起こす病気の総称です。
正常なたんぱく質が何らかの原因で複雑にからみ合い、水に溶けにくい「ごみ」となって体にたまります。詳細なメカニズムは分かっていません。
アミロイドは分子構造がナイロンと似ていることから、「ナイロン蓄積病」と呼ばれることもあります。
例えるなら、からみ合ったナイロン製の漁網が体の中にたまっていく、といったイメージです。

正常なたんぱく質が、なぜ「ごみ」になるのか。国際アミロイドーシス学会理事長などを歴任した長崎国際大薬学部の安東由喜雄教授は「老化の進展と密接に関わっている可能性がある」と指摘しています。
最近の研究では、80歳以上の10〜20%にアミロイドがたまり、加齢とともに症状が起こることがわかってきたそうです。

アミロイドーシスはこれまで30種類以上が確認されています。
最も知られているのは、認知症患者のうちおよそ7割を占めるアルツハイマー病で、「全身性」はトランスサイレチンというたんぱく質が原因となるのに対し、アルツハイマー病はアミロイドベータが引き起こします。


アントニオ猪木さんが闘っていた病高齢化の進展とともに増加しており、「110歳以上で亡くなった世界各国の6人を調べた結果、死因はがんや心臓病、脳卒中などではなく、全身性アミロイドーシスだった」ということが08年の米科学雑誌サイエンスに掲載されました。

国内では、双子の長寿姉妹「きんさん、ぎんさん」で知られる、蟹江ぎんさん(01年に108歳で死去)も「全身性」にかかっていたとされます。
「がんなどの病気を科学的に克服できたとしても、高齢化する人類に最後に立ちはだかるのはアミロイドーシスではないか」と安東教授は指摘します。
安東教授は「人間の寿命が急速に延びる一方で、老化で生じるたんぱく質のごみ(アミロイド)の処理に、人間の進化が追いついていない」と指摘。
「人生100年時代を迎える中、アミロイドーシスは21世紀の疾患。決して特別な病気ではない。根本的な治療方法の確立を急ぐ必要がある」と話しています。

配信 Willmake143

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